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ドイツ通信Vol.6 ドイツの動物保護法について調べてみた

ドイツに住むことになりましたと、周りの方々に報告していた時、多くの方に言われたのが「ドイツって動物愛護の先進国だよね!」という事。

☑️ドイツって犬放し飼いなんでしょ?

☑️殺処分ゼロなんだよね?

☑️ティアハイムって施設があるんだよね?

うんうん 私もそんなイメージでした。

6年前、フランクフルトのティアハイムを訪れた時も、ドイツって本当に進んでいるな・・・と思った記憶があります。

◆2019年ドイツ・フランクフルトのティアハイムで◆

保護されているワンコと森を散歩した時の様子です。

2019年、日本では動物愛護管理法が大幅に改正されました。ちょうどKIMIMOを設立した時でした。

飼い主の視点で記憶に残っているのは「8週齢規制」と「マイクロチップ義務化」でしょうか。

当時の私は「なんだかな〜 こんなレベルの改正か・・・」(といっても、大規模な改正だったのですが・・・)と思いました。(すいません😅)


では、ドイツの動物に関わる法律ってどうなっているんだろう? そういえばちゃんと調べたことがなかったな〜

ってことで、回転の悪い頭をできるだけフル回転して調べてみました。

日本の「動物愛護法」の位置付けは、いわゆる「法律」の部分に当たりますよね。

みなさんご存知の通り、「法律」の上には「憲法」があります。国民の権利や、国会のあり方や、平和に関することが定められていると、大昔に習った記憶がありませんか?

ドイツの法律の仕組みは、多分日本とは違うと思うのですが、「ドイツ連邦共和国基本法」という法律に「動物保護」について記されています。

基本というからには、きっと日本の憲法的な立ち位置ではないかと思います。

そしてさらに「動物保護法」という法律も存在していて、これは日本の愛護法の立ち位置です。

ここで気になるのが、「愛護」か「保護」かですよね。

私たちNPO法人KIMIOMは動物愛護啓発団体で、動物保護団体の支援もしています。

なので、どちらも身近な単語ですが、考えてみれば全く意味の違う言葉です。

愛護とは、「かわいがって、たいせつに庇護すること」とあり、保護は「脅威や影響を与えるものに対し、有形無形の障壁を設て守ること」とありました。

という事は、そもそも「愛護」(日本)と「保護」(保護)と、言葉が違う時点で、考え方の根本が違うという事です。

ドイツの人々にとって動物は守らなければならない、人が責任を持つべき対象なのだと思います。

その考えは、普段の生活でも少しだけ垣間見えます。

わんワンダーフェスを6年間に渡り開催し、多くの飼い主さんとワンちゃんに会ってきました。

どの飼い主さんも「愛犬と一緒に楽しみたい!思い出を残したい!」という気持ちを強く感じます。

かわいいお洋服やグッズ、便利なペットカートやスリングなども、その実現のための一つのアイテムですよね。

一方こちらにはそんなグッズがほとんど存在しませんw 少しは見かけますが、「全くない」に近い状態です。

洋服はいわゆる防寒具やレインウェアが主で、どのお店も同じラインナップです。(ラック1段分ぐらいで、ほぼ茶色とか黒とか・・・)

おやつだって、日本のような可愛らしい形のクッキーなんてなくて、ザ!犬のおやつ!って感じのものばかりです。

仙人の杖ばりに長いアキレスw

ねぇどうやってあげるの?ってか、どんな犬種にあげればいいの?

ジャックにあげたら腹壊すだろーなー

ただ、その代わり、しっかりと責務を果たします。朝晩の散歩は当たり前で、みんな長い距離を歩いていますし、お昼に「犬の散歩行くから!」と言って、仕事から一旦帰宅する人もいます。

一緒に入れるレストランやお店は多いですが、それは本当に「ただ一緒に入れるだけ」で、特にサービスはありません。(水はくれる。だって喉の渇きは苦痛だから と誰かが言ってましたw)

人との生活をスムーズにするために、徹底的にトレーニングもします。私の家の周りにもたくさんのHundeschule(犬の訓練学校)がありますし、保護施設でもトレーニングを受けれます。今朝散歩ですれ違った犬のほとんどは完全にノーリード。でも飼い主さんから遠く離れず、呼び戻しも完璧です。

犬としての生態を尊重し、あくまでもシンプルに「犬と生きている」というイメージです。

話がだいぶ逸れてしまいましたが、ドイツと日本の動物に対する考え方は根本から違い、だから法律も大きく違っているのです。


ドイツの動物保護法には何が書かれてる?

根本が違うんだから、日本とはさぞ違うことが法律で定められているだろうと、「動物保護法」を調べてみると、笑っちゃうくらい違うんですね。

書き出しが既に日本と違います。

この法律の目的は、動物に対する人間の責任に基づき、動物たちを同じ生き物としてその生命と幸福を守ることです。正当な理由なく動物に痛み、苦しみ、または危害を与えることはできません。

ちなみに日本はこう↓

国民の間に動物を愛護する気風を招来し、生命尊重、友愛及び平和の情操の涵養に資するとともに、動物の管理に関する事項を定めて動物による人の生命、身体及び財産に対する侵害並びに生活環境の保全上の支障を防止し、もつて人と動物の共生する社会の実現を図ることを目的とする。

うん、やっぱり大きく違う。

続いて、ドイツの法律には何が書いてあるかというと・・・(びっくりするほど細かいこと書いてありますw)

✅ゲージの広さとかの飼育についての細かいルール

 ・散歩は1日2回絶対!屋外に連れて行くこと!

 ・長時間放置したらダメ!

などなど・・・

✅繁殖に関する細かいルール

✅どんな場合に殺害できるか(いわゆる安楽死のルール的なもの)

✅犬や猫以外の家畜に関する細かいルール(屠殺のルールとか)

✅麻酔なしで手術したらダメ!(ただし細かい除外があるけど、細かすぎるので割愛)

とにかく膨大です。

長くなるので、日本の愛護法はこのリンクからご確認ください〜 

ドイツの法律は「保護して守るんだ!」とうい強い責任感から来てるので、とにかくめちゃくちゃ細かくルールで定めている印象を受けます。

反して日本は、「うまく動物とやっていこうよ!そしたらもっといい社会だよ!」という、何とな〜く緩めな印象を受けました。(だから取り締まりも難しいってよく聞きます)

どっちが良いかという話

日本人の私としては、ドイツの法律はどことなくそっけない印象を受けます。

だって「動物と楽しく共生したい!そんな社会を作りたい!」って、KIMIMOを立ち上げているから。

でも、現実は殺処分・虐待・不適切飼育・放棄・ネグレクト・・・が頻発しています。

だから、ドイツのように細かくルールを決めてほしい!動物だって、人と同じレベルで、保護されるべきだと思うのです。

その上で、日本らしい「共生」の道を進めれば、世界最強とすら思います。

今日も今日とて、私は散歩する

さて、長く書きましたがそろそろ散歩の時間となりましたので、この辺りで終わりにしたいと思います。

◆散歩は1日2回(1時間〜)が義務です◆

ミュンヘン中心地にはヨーロッパ最大級の公園があるし、とにかく緑が多いミュンヘン。

ジャックは楽しそうだけど、スニーカーはドッロドロ、白いジャージを履こうものなら、足元は泥で汚れ倒します。

あと、これからの季節はダニがわんさか出るそうで、恐怖に震えています。

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